口が乾燥する原因は?ドライマウスは放置せず対策をしましょう
公開:2022/11/16 |更新:2023/03/18
口が乾燥する原因は?ドライマウスは放置せず対策をしましょう
喉は渇いていないけど何だか口が乾燥する…。唾液が出にくくて食べ物が飲み込みにくい。
なんて症状のある方は『ドライマウス』かもしれません。
『ドライマウス』はただ口が乾いているだけで、お水を飲めば良いとほっといてしまうと様々なリスクがあります。
『ドライマウス』の原因を知り、対策を行いましょう。
お口の乾燥(ドライマウス)とは
ドライマウス(口腔乾燥症)
何らかの要因で唾液の分泌が減少し、口の中が乾いている状態のことを指します。
軽度ではお口のネバつきや舌がヒリヒリしたり、口臭が増したりしますが、重度になると食事が飲み込みにくくなったり、舌が乾燥によりひび割れてしまい強い痛みを感じるようになります。
食事の際にお水やお茶が無いと食事がしにくい、なんて方はドライマウスかもしれません。
ドライマウスの症状
・唾液の分泌が減る
・口が乾いてヒリヒリする
・お口のネバつき
・飲み物が無いと食事が取りにくい
・唾液が泡立つ
・舌が割れている
・口臭がキツくなった
ドライマウスが起きる原因は?
ドライマウスを引き起こす原因は様々ですが、ここでは代表的なものを紹介していきます。
薬の副作用
花粉症やアレルギー症状の時に使用する抗ヒスタミン薬は、鼻水を止めるだけではなく、唾液の分泌も止めてしまうためお口が乾燥してしまいます。
抗ヒスタミン薬は市販の風邪薬に含まれていることも多いです。
また抗ヒスタミン薬の他にも、抗うつ剤や鎮痛剤、利尿剤や胃腸薬、降圧剤にも唾液分泌を減らしてしまう副作用があります。
病気によるもの
シェーグレン症候群と呼ばれる唾液腺や涙腺などの分泌腺を萎縮させ乾燥を引き起こす自己免疫疾患でもドライマウスは起こります。
また糖尿病の方も血糖値が高くなり、糖を含んだ尿が大量に出てしまうため脱水症状を引き起こし、結果喉の渇きやドライマウスを感じることもあります。
くも膜下出血や脳梗塞などの後遺症で顔面の筋肉が動かしにくい方は、お口の周りの筋肉も動かしにくくなるため唾液腺が刺激されず唾液の分泌が減少してしまいます。
ストレス
ストレスや焦り、緊張などを感じると交感神経が刺激され唾液の分泌が阻害されます。
唾液腺は副交感神経が支配しているので、ストレスがかかり交感神経が優位になってしまうと唾液が減少しお口が乾燥してしまうというわけです。
年齢によるもの
加齢によってもドライマウスは起こります。
加齢により、お口の周りの筋力低下や筋肉の萎縮が起きると唾液量の低下が起きます。
筋力低下に伴い、柔らかい食事ばかりになってしまうと唾液腺が刺激されず、より唾液が出にくくなってしまいます。
唾液腺は女性ホルモンの影響を受けるため、更年期障害などで女性ホルモンのバランスが乱れることでもドライマウスの症状が出ます。
口呼吸
お口をポカンと開けて口呼吸をしていると唾液が蒸発してしまうので、ドライマウスの原因になります。
鼻炎などが原因で鼻呼吸がしにくい方は口呼吸になりやすいため、鼻炎に対する治療も必要になります。
放射線治療によるもの
顔や首など唾液腺の近くに癌治療のために放射線を当てると、唾液腺の細胞も障害を受けてしまい唾液が出にくくなることでドライマウスの原因になります。
ドライマウスのリスク
様々な要因でドライマウスは引き起こされますが、唾液には口を潤すだけではなく殺菌作用や免疫機能、消化機能などがあります。
その唾液が減ってしまうとどんなリスクがあるのでしょうか。
むし歯や歯周病のリスク
唾液には殺菌作用がある為、むし歯や歯周病、口内炎などのお口の中のトラブルを抑制してくれています。
唾液量が減少することで殺菌作用が働かずむし歯になりやすくなったり、細菌が増加しやすくなることで歯周病が進行したり口臭の原因になってしまいます。
誤嚥性肺炎
唾液量が少ないとうまく食事を噛んで飲み込むことができず、そのまま肺に食事や細菌を運んでしまうことで誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高まります。
味覚障害・摂食障害
ドライマウスが進行し、舌がヒリヒリしたり口内炎が多発することで食べずらさを覚え、摂食障害を引き起こす恐れがあります。
また味覚は舌の上にある『味蕾』という器官で味を感じとっていますが、ドライマウスにより『味蕾』が傷つき、味を感じにくくなることもあります。
ドライマウスの対策方法
ドライマウスの原因によっては歯科医院やかかりつけの病院に行くことが重要になりますが、ご自宅で出来る対策方法をお伝えします。
食べ物や飲み物を気をつける
柔らかいものばかり食べていると唾液腺が刺激されず、筋力も低下してしまい唾液量の低下に繋がるので食べ応えのあるものをよく噛んで食べましょう。
キシリトール入りのガムであればむし歯リスクを抑えながらドライマウスの対策にもなるので、ガムを噛んで唾液を分泌させることも効果的です。
またカフェインやアルコールの過剰摂取は利尿作用を促進してしまい、脱水症状を引き起こしやすいので注意が必要です。こまめにお水を飲みましょう。
唾液腺のマッサージ
唾液を作る唾液腺をマッサージすることで唾液の分泌を促進することができます。
画像の黄色の部分が『耳下腺』『顎下腺』『舌下腺』と呼ばれる三種類の唾液腺です。
この唾液腺の部分を、優しく指で押したりくるくるマッサージを行いましょう。
また、舌をお口の中でぐるぐる大きく回したり、思いっきりベーッと出したり戻したりを繰り返すことでも各唾液腺が刺激されるのでおすすめです。
治療薬
ドライマウスの根本改善にはなりませんがドライマウス用の保湿剤やお薬もあります。
シェーグレン症候群や放射線治療の後などに保湿力の高い洗口液や保湿ジェルが処方されることもあります。
ドライマウスを放置しないことが大切
ドライマウスは、痛みを引き起こしたり食事が食べにくくなるだけではなく、むし歯や歯周病のリスクを高める原因にもなります。
全身的な病気のサインの可能性もあるので、最近お口が乾燥しやすいと感じる方はぜひ歯科医院で相談してみましょう。