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歯の神経をできるだけ残す治療

公開:2023/07/01 |更新:2023/08/10

歯の神経をできるだけ残す治療

歯の神経をできるだけ残す治療

深い虫歯や歯の損傷によって感染や炎症が起きた場合、根管治療によって神経を取り除くことが一般的でした。
近年では、なるべく神経を取らずに、神経(歯髄)を残して歯を生かすことを目的とした治療が注目されています。
歯の神経は歯の健康を維持するために重要な役割を担っているため、できる限り神経を取らずに残していく方向で治療を考えることを推奨します。
しかし、全ての症例で行えるわけではなく、「歯の神経を残せない症例」もあれば「歯の神経を残すべきではない症例」もあります。
状況に応じて最も良い選択を行うことが重要です。

歯の神経を抜かなければいけない時

歯の神経を抜かなければいけないケースは多々存在します。
歯の神経を抜く治療が必要となる方の多くは、細菌感染によって神経に炎症が起こっているケースです。
特に、何もしていなくてもズキズキと痛む方や、夜も眠れないほど痛みがある方などは、神経を取って根管治療を行うケースが多くなります。激しい痛みを伴うため、症状を緩和させるために神経を抜きます。

もう1つは、虫歯の重症化や外傷によって歯の神経(歯髄)が死んでしまったケースです。
神経が死んでいるので痛みは感じませんが、細菌感染している状態には変わりないので、神経を抜いて病巣の拡大を防止する必要があります。

他にも重度の知覚過敏や、歯に亀裂が入った時などに神経を抜く治療を行います。
歯の神経を抜くことになったとしても、歯を失うわけではありません。神経を残せないとなった場合はきちんと治療をして歯の寿命を伸ばすことが大切です。
定期健診に通い、虫歯の予防に努め、症状が軽いうちに適切な処置を取ることで、お口の中の健康を維持することができます。

歯の神経を保護する薬

歯髄保存療法という治療法で、生きている神経をできる限り温存することができます。神経を残す治療において欠かせないものがMTAセメントです。

MTAセメントとは

MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントは、歯科治療に使用される特殊なセメントの一種です。
主に酸化鉄や酸化ケイ素、酸化カルシウムなどの成分から構成されています。
1993年に米国ロマリンダ大学の研究者により開発され、1998年以降に欧米各国で製品化され、2007年に日本で発売が開始されて以来、多数の症例に使用されて高い臨床評価が得られています。
MTAセメントは、歯科医療の分野で幅広く使用されています。
その優れた生体適合性や抗菌効果により、歯の根管治療や歯髄保護において重要な役割を果たしています。

生物適合性

MTAセメントは、生体適合性が非常に高いセメントです。
その成分は骨や歯の組織と非常に類似しており、周囲の組織との相互作用が優れています。

抗菌効果

MTAセメントには抗菌効果があり、根管内の細菌の増殖を抑制することができます。

歯髄保護

MTAセメントは、神経を保護するために根管内に応用されることがあります。
感染や炎症のある歯の神経を取り除いた後、MTAセメントを用いて歯髄を保護することで、歯の持続的な健康をサポートします。

根尖処置

MTAセメントは、根尖部の治療にも使用されます。
根尖部の炎症や感染を制御し、根の先端部の封鎖を行うために応用されます。

被せ物の下部修復

MTAセメントは、虫歯や歯の損傷による神経への侵害を修復するためにも使用されます。
虫歯を取り除き、MTAセメントを用いて神経を保護し、それに続いて充填や被せ物の設置が行われます。

MTAセメントができること

歯の神経を残すことができる

MTAセメントを使った処置により、通常であれば歯の神経を取るケースでも神経を残せる可能性があります。大きな虫歯も神経を保護しながら治療できるので、神経を抜かなければならないというリスクを下げることができます。
また、根管治療を回避することができれば歯を削る量は最小限に抑えられます。
歯の神経を残す、歯を削る量を減らすということは、将来的に歯を失うリスクを下げることに繋がります。

生涯でかかる歯科治療費を減らせる

歯の神経(歯髄)の保存により、抜髄処置(根管治療)の費用、ファイバーコア等の土台の費用、セラミッククラウン等の高額な被せ物の費用が必要なくなります。
歯を失わなくて済むということは、入れ歯やインプラント、ブリッジといった治療を行わなくて済むことに繋がります。
MTAにより歯髄保存が可能であれば、生涯にわたり発生する可能性のあるこれらの治療費用を抑制することができます。

根管治療の成功率を上げる

根管治療においてもMTAセメントは有効です。 穴があいてしまった歯や、歯の根にひびが入ってしまった歯を修復するのにMTAセメントを使用します。
再治療をくりかえしている歯は根の先(根尖)の形態が破壊されていることがあり、ガッタパーチャと呼ばれる根管充填材では根尖をきちんと封鎖することが困難です。
一方でMTAセメントは抗菌性や封鎖性が高いので、しっかりと充填することができます。MTAセメントで埋めることによって、細菌の侵入を防ぎ、根尖病巣の再発を防ぐことができます。
治りにくかった根管治療を精度よく治療することで、歯の寿命を延ばします。

MTAセメントの治療の流れ

歯の神経を残す治療方法

歯髄保存療法は、虫歯の進行状態から「間接覆髄法」「直接覆髄法」「部分断髄法」「全部断髄法」という4つの方法があります。

間接覆髄法

歯の神経の近くにまで進行した虫歯がある歯の神経を健康な状態で温存するための処置方法です。
深い虫歯治療において、歯の神経に近い深さまで虫歯を除去した後、神経の露出が認められなかったとしても、MTAセメントを用いて神経を保護する治療法です。

直接覆髄法

虫歯治療時に露出した歯の神経に対して、直接MTAセメントを塗布する治療法です。歯の神経にダメージが及んでいない場合に行われます。

部分断髄法

歯の神経を部分的に除去して、まだ健康な神経を保存する処置方法です。 歯髄保存療法の中で最も多い処置となります。
こちらは神経に一部感染が認められる場合に、感染した神経だけを除去する方法です。

全部断髄法

歯肉より上の歯質部分の神経を根管口部分まで除去し、健康な状態の歯根部の神経を保存する方法です。

MTAセメントの治療の流れ(部分断髄法)

初診

問診及びレントゲンで、虫歯がどのくらいの範囲に存在しているかを確認します。

治療開始:治療準備

歯髄保存治療ではラバーダムシートを歯にかけ、治療を行う歯に唾液や細菌がつかない治療環境をつくります。
(※唾液に触れる状況では、再び細菌感染を起こし、治療を行っても症状は一向に改善しません。)

治療開始:虫歯を削る

虫歯の部分を丁寧に削ります。外側の虫歯を除去したら、神経に近い部分の虫歯を慎重に削っていきます。マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用して、炎症を起こしている神経は精密に切断除去し、活性化を起こせると判断した神経は残します。

治療開始:MTAセメントを使用

虫歯を綺麗に除去できたところで、洗浄と消毒をします。歯の神経が露出している部分をMTAセメントで覆います。歯を補強しつつ、仮止め(仮封)を行い、最終的な詰め物、被せ物に備えます。

治療開始:被せ物

経過観察を行い、症状に問題がないことが確認できたら、歯を削った量に応じてコンポジットレジン修復、あるいはセラミックの詰め物、被せ物を施し、自然な歯の形態に修復して終了です。

歯へのダメージをできるだけ少なくする治療

神経を残す治療は、神経をすべて抜く根管治療と比べて、歯を削る量を抑えることができるので、歯そのものに与えるダメージが最小限にとどめられます。
治療後は、「生きている歯」として健康な状態を維持することが可能です。
材料や技術の進歩によって、ひと昔前では残せなかった歯の神経を残せるケースがあります。
出来るだけ長くご自身の歯で健康的な生活を送りたいとお考えの方は、当院にご相談ください。
患者様一人ひとりに適切な治療をご提案いたします。

歯科&矯正歯科オーラルデザインクリニック秋葉原 理事長/歯科医師 小野貴庸

【監修】理事長/歯科医師 小野貴庸

  • 明海大学歯学部卒業
  • 静脈内鎮静法下・全身麻酔下での口腔外科手術、各種外科治療、審美治療に特化

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