診療時間:10:30~13:30/15:00~18:00
休診日:木・日(詳しくはこちら

フェイスボウトランスファー

公開:2023/08/16 |更新:2024/07/01

秋葉原 歯医者 フェイスボウ

秋葉原の歯医者、オーラルデザインクリニック秋葉原 歯科&矯正歯科の理事長、歯科医師の小野です。
フェイスボウトランスファーという言葉を聞いたことはありますか?
この器具は、かみ合わせ治療を行う時に必要不可決なものです。
特にセラミック矯正などを行うときは、必ずこの器具を使用している歯医者を選択することをお勧めします。
今回はフェイスボウトランスファーの役割と使用しないどうなるかに関して解説していきます。

フェイスボウトランスファーとは

多くの方は歯科医院で歯型を取ったことがあると思います。
歯型をとることを印象(いんしょう)と言います。
印象の主な目的は、診断に使用するためと、被せ物や入れ歯などを作るためです。
上下の印象をとったら、石膏模型にしたものを咬合器(こうごうき)というお口の中の情報を外部で見ることができる装置に付着します。
咬合器に口腔内と同じ位置関係で模型を付着させることが、治療の精度を上げる重要なポイントです。
フェイスボウトランスファーとは、頭の骨に対する上顎の位置を正確に咬合器上で再現することです。
フェイスボウトランスファーを行うことで、口腔内の状態が忠実に再現できます。
患者様の頭部にフェイスボウという器具を装着して上下の歯の噛み合わせや顎の動きを測定します。こうして採られた歯型を咬合器で正しく再現することで、精度の高い診断と治療が行われています。

フェイスボウトランスファーはこんな時に使用します

フェイスボウトランスファーは、たくさんの情報を一度に得ることができるため、より精度の高い治療を行うために必要な操作です。

補綴治療

フェイスボウトランスファーは、補綴物(被せ物や入れ歯)の製作において非常に重要な手法です。一般的に補綴治療は、取得した口腔内の印象をもとに歯科技工士が補綴物を製作します。
そして製作された補綴物を歯科医師が患者様のお口の中に取り付け、咬合や適合性を調整します。必要に応じて、修正や微調整を行います。
フェイスボウトランスファーを行うことにより、患者様のお口の中の状態が的確に咬合器で再現され、患者様それぞれに適した歯の形態を作ることができるため、調整の少ない歯を入れることができます。また、顎の動きと調和のとれた歯が作製されるため、患者様は快適に長く使うことができます。

矯正治療

歯列矯正をする場合、はじめにレントゲン写真、歯型の取得、写真撮影などの診査・診断を行います。フェイスボウトランスファーは、診査・診断で重要な役割を果たします。
現在の歯並びや咬み合わせと比較し、どの様に矯正治療を行うべきかを決定していき、予測模型(矯正治療後の咬み合わせを予測したもの) を作っていきます。
フェイスボウトランスファーを行うことで、身体の中心軸に対する上の歯の位置関係を記録し、噛み合わせの位置や歯の並ぶ位置を計測できます。
この計測結果をもとに、患者様の咬み合わせや歯並びを再現した模型を作製し、三次元的に見て咬み合わせに問題がないかを詳しく診断していきます。
模型診断は、舌側、後方から直視して診断ができるのもポイントです。
実際に患者様の口腔内を後ろから見ることはできないため、精密な診断をするためには、フェイスボウトランスファーは欠かせません。

咬み合わせ治療

フェイスボウトランスファーにより、ゆがみや正常な顎の動きの邪魔をする歯を見つけることができます。
顎の関節や咬み合わせの状態を立体的にチェックし、日常生活でご本人ですら気づいていないような部分まで把握し、咬み合わせの診査、診断をして治療します。
咬み合わせの平面は体の中心軸に垂直に交わり、左右対称になることが理想的です。
フェイスボウトランスファーにより咬み合わせの平面がどのようになっているのかわかります。
理想的な咬合平面を基準に現在の咬み合わせの位置を確認していきます。
また、咬合器に付着された精度の高い模型を用いることで、筋肉に調和したマウスピースの製作を行うことができます。

フェイスボウトランスファーを使用しないとどうなるの?

実際にフェイスボウを使用している歯科医院は少なく、多くの歯科医院では、顎の運動の要素を解剖学的な平均値に固定してある「平均値咬合器」が使われています。
フェイスボウトランスファーを行わずに模型を咬合器に装着した場合、下顎の運動軸と咬合器の開閉口軸が一致せず、閉口路に誤差が生じてしまいます。
また、正中が微妙にずれたり咬合平面が傾くということが起こりうるため、そのまま入れ歯や被せ物を製作すると様々なトラブルが生じる可能性があります。
正しい位置に模型を付着しなければ、せっかくの咬合器が役に立たず、診断を誤ってしまうこともあります。
補綴物は調整量がその分多くなり、咬合面形態にもその影響が及んでしまいます。
補綴物を入れる際には、咬み合わせを調整しますが、これはあくまで患者様が違和感を感じるかどうかを確認して調整しています。
実際の咬み合わせの位置関係が正しいかどうかはフェイスボウトランスファーを行わないと確認できません。
治療をして見た目も綺麗になり、良くなったように感じても、咬み合わせが悪い状態では補綴物が壊れたり、歯が傷ついたりしてしまいます。
咬み合わせの違和感や痛みは、口の中や顎にとどまらず、肩こりや頭痛など全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
お口の中に違和感がある場合は、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。

歯科&矯正歯科オーラルデザインクリニック秋葉原 理事長/歯科医師 小野貴庸

【監修】理事長/歯科医師 小野貴庸

  • 明海大学歯学部卒業
  • 静脈内鎮静法下・全身麻酔下での口腔外科手術、各種外科治療、審美治療に特化

カテゴリー

新着記事