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保険が良いの?自費が良いの?根管治療の違い

公開:2023/04/03 |更新:2023/07/10

保険と自費の根管治療の違い

保険が良いの?自費が良いの?根管治療の違い

強い痛み、腫れ、歯の変色といった症状がある場合には根管治療が必要となることがあります。根管治療とは、簡単に言うと「歯の根っこの治療」のことです。
一般的に「歯の神経を抜く」と表現されることもありますが、厳密に言うと「細菌感染した神経を取り除く」治療です。
深い虫歯などで感染した神経を取り除き、歯の根っこを徹底的にきれいに洗浄、消毒し、最後に薬剤を詰めて密封します。
根管治療は非常に難しく、内部に細菌が残って虫歯が再発するケースは少なくありません。

被せ物は「銀歯=保険」「セラミック=自費」のように分かりやすい違いがありますが、根管治療でも保険診療と自由診療では大きな違いがあることをご存知でしょうか。
保険診療には様々な制約があり、限られた治療方法や材料しか使えないため、治療の品質や対応範囲には限界があります。
歯を失うことを防ぐためには、繊細かつ高度な技術が求められる根管治療こそ、自由診療を選択することをおすすめします。

保険と自費の治療期間の違い

根管治療において、保険診療と自由診療で大きく異なるのが治療期間の目安です。保険診療は一回の治療時間が30分程度で4〜5回、複雑な場合はそれ以上の通院回数をかけて治療を行います。
数ヶ月かけて治療をすることがほとんどです。一方で自由診療は60〜90分時間をかけて細かな治療を行い、通院回数は2〜3回で、1ヶ月程で治療が終わります。
根管治療は保険診療のように長期間かけて行うと、根管内に細菌を増殖させて再治療になるリスクがあります。

治療の間隔をあけてしまうと、再治療のリスクはさらに高くなるため、週に1回程のペースで来院する必要があります。
根管治療における自由診療は治療回数を少なくすることで、患者様のご負担を軽くできるだけでなく、歯への負担を軽くし、治療の成功率を上げることができます。

保険と自費の成功率の違い

東京医科歯科大学が発表したデータによると、保険診療での根管治療の成功率は30〜50%、半数以上の人が再感染していることが分かっています。
根管治療は非常に難易度の高い治療です。
しかし、アメリカでは成功率が約90%と高い成功率を示しています。実は日本とアメリカの根管治療の違いは「保険診療か、自由診療か」なのです。
その理由を詳しくご紹介いたします。

治療前後の診断設備

根管治療を行うにあたっての治療前後の診断設備
歯の根っこの本数や形状は人により様々です。根っこの先が2つに分かれていたり、とても複雑な形状をしています。これらを治療前に正確に把握していないと、細菌の取り残しが起こり、再発につながります。
保険診療では二次元のレントゲンを使用するため、根の先がぼやけてしまったり、映っていないことで、根管の本数や形状を確認できない場合があります。歯の根っこは肉眼では見えないため、勘や手探りの治療になってしまい、細菌の取り残しが起きる原因の一つとなっています。

自由診療では、三次元のCT撮影を必要に応じて組み合わせることで、診断の精度を高めることができます。
CTは重症化しないとレントゲンには映らない病巣の早期発見や、より正確な治療後の再評価が可能なため、根管治療の成功率を上げるために重要な設備です。

マイクロスコープの使用

マイクロスコープの使用
保険診療の根管治療は、裸眼もしくはルーペ(拡大鏡)を使用して行われます。
自由診療で使用するマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)は、暗くて複雑な根管内を、鮮明に拡大した映像として映し出せるため、確実性の高い処置を行えます。
マイクロスコープを使用することで、細菌感染した神経の取り残しによる再発リスクを大幅に減らし、根管治療の成功率を高めることができます。

アメリカでは根管治療の専門医にマイクロスコープの導入義務があるほど、根管治療の成功率を高めるための重要な器具です。
しかし、マイクロスコープは高価な装置であり、設置やメンテナンスにも費用がかかるため、日本の歯科医院で導入しているのは数パーセントに過ぎません。
また、マイクロスコープのレンズを覗き込みながら、お口の中を治療することは容易なことではなく、歯科医師の技術も必要となります。
※マイクロスコープもCT撮影と同様、保険適応となる場合もあります。

ラバーダム防湿法

ラバーダム防湿法
お口の中には多くの細菌が繁殖しているため、治療する歯以外にラバーダムという薄いゴムのシートを覆い被せて、唾液や細菌が入るのを防ぎます。
日本の保険診療ではラバーダム防湿法は点数に組み込まれておらず、医院側のコストがかかるのと、装着に時間がかかるために使用されないことがほとんどです。
根管治療中に、歯の中に唾液が入ると、再び感染を起こし、治療を行っても症状は一向に改善しません。
逆に、感染がなければ根管治療は失敗しません。
CT撮影で診査・診断を行い、マイクロスコープを使用して治療をしても、そもそも「ラバーダムを使用していなければ意味がない」と言っても過言ではないほどの重要な役割を果たしています。
また、ラバーダム防湿法は根管内を洗浄する際に使う強い薬剤や、細かい治療器具がお口の中へ入ってしまうのを防ぎ、安心に治療を進めるための役割も持っています。

ニッケルチタン製ファイル

根管治療では、細菌感染した神経を除去するために「ファイル」と呼ばれる器具を使用します。
保険診療で一般的に使用されるのがステンレス製のファイルです。ステンレスは硬くて汚れをしっかり取れる反面、しなやかさに欠けるため、根管内を傷つけてしまうリスクがあります。

自由診療で使用されるのが、ニッケルチタン製のファイルです。非常に柔軟性が高く、湾曲した歯の根っこの先端の部分まで汚染を取り除くことができます。
ステンレス製のファイルは、歯科医師が指先で摘んで行いますが、ニッケルチタン製のファイルは、電動モーターと、手動の併用で治療します。電動モーターはしっかりと汚れを取るパワーを備えており、一定の負荷がかかると自動で停止し、組織の削り過ぎを防ぎます。

根管充填剤

根管内をきれいにしたら、神経の代わりとなる薬(根管充填剤)を根の先に詰めていきます。歯の神経を取ったことにより空洞になった根管内を緊密に塞ぐ処置です。隙間を適切に塞ぐことができなければ、再び感染してしまうリスクが高まります。
保険診療では、「ガッタパーチャ」という天然のゴムから作られた柔軟な棒状の材料を詰めます。
自由診療では、アメリカで開発された骨の再生機能がある「MTAセメント」を併用して使うことができます。
歯根に穴が開いている場合、MTAセメントであれば完璧にふさぐことが可能です。ガッタパーチャだけでは穴は塞ぎきれず、隙間から再感染してしまうため、抜歯となってしまいます。

保険と自費の再発率の違い

根管治療の再発率は非常に高く、保険診療の根管治療の再発率は80%以上です。
保険と自費の再発率の違い
上の表は、歯科業界で広く知られている根管治療の成功率に関するデータです。
根管治療の精度と被せ物の精度の高低の組み合わせによって、治療の成功率が大きく変わることが分かります。再発リスクを抑えるためには、根管治療の精度はもちろん、被せ物の精度にもこだわることが大切です。
また、根管治療は治療を繰り返せば繰り返すほど、成功率が下がります。
自由診療の精密根管治療の治療結果における研究では、初めての治療の場合は歯根に病巣(病的な変化)がなければ90%以上の成功率、病巣があっても約80%の成功率ですが、再治療になると病巣なしは70~80%で病巣ありの場合は約50%と大きく成功率が下がることがわかっています。
保険診療の根管治療の再治療の成功率は極めて低いため、最終的に抜歯となることがほとんどです。

再根管治療になる原因

再根管治療が必要となる原因として、以下のようなものが考えられます。

細菌感染の再発
初回の根管治療で細菌が完全に除去されなかった場合に、根管内に細菌が再び繁殖して感染が再発することがあります。

根管充塡や被せ物に隙間があった
根管充填の際に根の先までしっかりと薬が詰められていないと、根の中に空洞ができ、空洞内で菌が増殖して、炎症を引き起こします。

根管内に穴が空いている
根管内に穴が空いているのに気づかず根管治療を終えた場合には、細菌が再び入り込んで感染を引き起こすことがあります。

初回の根管治療が非常に重要であることをご理解いただけましたでしょうか。歯の根っこの洗浄を繰り返すと、根管内部はその都度ダメージを受け、歯はどんどん薄くなってしまいます。

根管治療に失敗したら

根管治療が失敗した場合でも、歯の状態によっては、再治療を適切に行うと、完治させられる場合があります。保険の根管治療を繰り返していると、最終的には抜歯になる可能性が高くなります。
自由診療の精密根管治療で精度の高い再根管治療を受けることで、歯を残すことができる場合があります。
根管治療で症状の改善が見られなかったときには、外科的処置(歯根端切除術)を行い、歯を残せる場合があります。歯根端切除術においても、自由診療で80〜90%前後、保険診療で40%程の成功率と言われています。

歯の寿命を伸ばすための選択を

日本の保険診療はアメリカの20分の1の治療費で受けることができます。
少ない自己負担で一定水準の治療が受けられるのは、保険診療のメリットです。しかし、保険診療で行えるのは必要最低限の治療であり、本来はまだ残せる歯であっても、保険適応の範囲内でやるとなるとなす術がなく、抜歯せざるを得ないケースがあります。
自由診療の費用は保険診療と比べると、どうしても高くなってしまい、簡単には決められないかもしれません。
保険診療で繰り返しの治療が必要になり、コストや労力がかかってしまうことを考えると、始めから自費治療にしたほうがよいケースもあります。

少しでも長く歯を残したいと希望される方は、自由診療の根管治療をお受けいただくことをおすすめします。
歯の寿命に直結する問題なので、これから歯の根の治療を控えている方は、慎重にご検討していただければと思います。

歯科&矯正歯科オーラルデザインクリニック秋葉原院長/歯科医師 五十嵐隆泰

【監修】院長/歯科医師 五十嵐隆泰

  • 日本大学歯学部卒業
  • jiadsペリオコース受講|石井歯内療法研修会受講|ICLSコース受講|ストローマンベーシックコース受講|インビザライン導入コース受講

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