マウスピース矯正は痛い?痛いと言われる理由と原因
公開:2022/07/01 |更新:2023/06/06
目次
マウスピース矯正は痛い?
「マウスピース矯正は痛いですか?」「どのくらいの痛みですか?」と心配される患者様が多くいらっしゃいます。
また、逆に「ワイヤー矯正に比べると痛くないですよね?」と質問される場合もあります。
マウスピース矯正を検討されていらっしゃる方の多くは「治療時の痛み」をご不安に思っていらっしゃるのだなということが分かります。
結論から言うと、マウスピース矯正に痛みが無いわけでありません。
しかしながら、ワイヤー矯正と比較すると、個人差はありますが、痛みは出にくい傾向にあります。
ではなぜ、矯正治療は痛みが出てしまうのでしょうか。
歯が動く時の痛み
歯は骨に埋まっているように思われていますが、実際は歯と骨の間に歯根膜と呼ばれる薄い膜が存在します。
この膜は食べ物等を噛んだ時に、歯にかかる衝撃を和らげる、クッションのような役割を担っています。
矯正の時も、この歯根膜が重要な動きをしてくれます。
ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも、歯を動かすために矯正装置を装着します。この装置によって歯に力をかけ、少しずつ歯を動かしていくというのが矯正治療のメカニズムです。
この時、矯正装置によって歯にかかる力が歯根膜に伝わります。
歯根膜は歯が動く方向に縮み、反対側の歯根膜は引き伸ばされる動きをします。
歯根膜は縮むと骨を溶かそうとする細胞を作り出し、伸びると骨を作ろうとする細胞を作り出します。
そして自分の周囲の骨の形を変え、バランスを取るようになり、歯根膜自身の厚さが一定に戻っていきます。
これを繰り返すことで歯を移動させていくのですが、矯正の痛みはこの一連の動きによって生じます。
物を噛む時の痛み
矯正治療は常に歯に力をかけ、歯根膜を刺激している状態ですので、歯根膜自体に小さい炎症が起きています。
そのため、物を噛んだりする時に炎症を刺激し、痛みが出やすくなってしまいます。
しかしながら、この痛みに関しては歯が動く過程で出ざるを得ないものになるので、ある程度我慢していただくしかないものになります。
矯正装置を装着したばかりの時のように、動きが大きく動き、歯根膜に負荷が大きい時期は硬い物を噛まないなどの予防措置を取るのも有効です。
マウスピース矯正、ワイヤー矯正、痛いのはどちら?
矯正治療においては、どうしても痛みが出てしまう理由をお伝えしました。
けれどなぜマウスピース矯正の方が、ワイヤー矯正に比べて痛みが出にくいのでしょうか。
それには物理的な矯正装置の形状と、歯を動かしていくスピードに違いがあるからです。
矯正装置の違いによる痛み
ワイヤー矯正には裏側矯正と表側矯正が存在します。
どちらも歯にブラケットと呼ばれる突起物を装着し、そこにワイヤーを装着します。
自身の歯よりも飛び出している装置なので、口腔内で擦れ、痛みを引き起こしてしまいます。
一方でマウスピース矯正の場合は数ミリの薄さのマウスピースを装着するだけなので口腔内で擦れることがほとんどなく、痛みを生じにくいという特徴があります。
動くスピードによる痛み
ワイヤー矯正もマウスピース矯正も装置による力によって歯を動かしていく治療ですが、歯を動かすスピードと大きさに差があります。
ワイヤー矯正は歯科医師が歯の動き具合をみながらワイヤーを調整して治療を進めるため、短期間に大きく動かさなければいけないことがあります。
マウスピース矯正はシミュレーションにより、初めから終わりまでの歯の動きを予測し、それに合わせてマウスピースを作成し矯正を行うことができるため、最短・最小の動きで歯を動かすことが可能になります。
歯を一気に大きく動かすのに比べ、少しづつ動かして行った方が痛みは出にくいため、マウスピース矯正の方が痛みが出にくくなります。
マウスピース矯正の痛みはいつまで続く?
個人差はありますが、治療中の痛みは常に一定ではありません。特に強く痛みや違和感が出るのは、新しいマウスピースに変えた直後から3日程度です。
痛みが出やすい時期
マウスピース矯正では、マウスピースを1週間に1度交換します。
今まで馴染んでいたマウスピースと少しずつ形が異なるため、歯が締め付けられるように違和感を感じられる方もいらっしゃいますし、再度歯が大きく動くため、変えた直後は痛みや違和感が出やすい時期になります。
しかしながらこの痛みや違和感は3日程度で収まり、マウスピースは歯に馴染みながらゆっくりを歯を動かすようになり、馴染んでいきます。
痛みが出た時の対処法
痛みが出たからといって、歯列矯正中にご自身の判断でマウスピースの装着を中断することはお勧めしません。
マウスピース矯正ではあらかじめ、最初から最後までどのように歯を移動させていくのかをシミュレーションしています。
そのため、その動きに合わせて全てのマウスピースの形が決まってしまています。
装着期間を守っていただけている場合は問題ありませんが、途中で装着をやめてしまうと、次回のマウスピースが歯に合わないという事態になり、矯正治療がうまくいかない、時間が余計にかかるということになってしまいます。
どうしても痛みが強い場合は痛み止めを服用し、すぐに歯科医師にご相談ください。
【監修】院長/歯科医師 五十嵐隆泰
- 日本大学歯学部卒業
- jiadsペリオコース受講|石井歯内療法研修会受講|ICLSコース受講|ストローマンベーシックコース受講|インビザライン導入コース受講
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